官業と民業2005年08月09日 09:15

 衆議院が解散されたが、小泉首相の記者会見がなかなか興味深かった。しかし、どうも納得ができない面が多い。  今回の民営化案については、疑問が多いのだが、その点についてはやはり納得できる論理はなかった。  まずは小さな政府が必要なんだという。公務員を減らし、民間でできることは民間に任せることで財政支出を減らし、小さな政府を実現するという。それなら、何故巨大な増税をするのか。今でも日本の税金はかなり高い。先日出された増税案は「大きな政府」を作るためならわかるが、小泉政府は一貫して、大きな政府に期待される社会保障制度を切り崩してきた。ならば減税はしないまでも、大増税は論理にあわない。  「民間にできることは民間に」という主張。これも詳細に検討するとかなり疑問が出てくる。「できる」といっても程度問題があるだろう。国鉄がJRになって、過疎での切り捨てなどは起きなかったという論者がいたが、そんなことはない。JRになって、いくつかの路線か廃止されているはずだ。過疎の郵便局を廃止しないというのはやはり疑問だ。本当に民間にしたら、採算がとれないから廃止するということを規制できないはずである。できるとしたら疑似民間というにすぎない。「民間に~~」という言葉自体についていえば、学校などもすべて民営化しなければならないのだろうか。私学がたくさんあるのだから、教育事業も民間でできるということになるだろう。しかし、過疎地域に私立学校ができるはずがない。つまり民間でできることといっても、「全国あまねく」かどうかはわからない。そういう部分についてどうするのか。  また、官業だと競争がないということが言われる。しかし、官業と民業が並立して競争するということもありうる。  民間の場合の欠点もあるだろう。情報公開等について、民間企業の方がより困難になるだろう。