日本の刑事事件でもミランダ原則を2006年01月24日 22:10

 殺人容疑に対して無罪判決が出た。24日の毎日新聞によると次のようだ。

 「愛知県豊川市で02年7月、ゲームセンターの駐車場の車から、同市平尾町、会社員、村瀬純さん(28)の長男、翔ちゃん(当時1歳10カ月)を連れ去り、海中に突き落として殺害したとして、殺人と未成年者略取の罪に問われた住所不定、元トラック運転手、河瀬雅樹被告(38)に対し、名古屋地裁(伊藤新一郎裁判長)は24日、無罪(求刑・懲役18年)を言い渡した。  物証や目撃証言が全くなく、河瀬被告の自白の信用性が唯一の争点だった。同被告は捜査段階で「(翔ちゃんの)泣き声にいらいらして連れ出したが、泣きやまずにもてあまして、海に突き落とした」と供述したが、公判では一転して「誘拐も殺人もしておりません」と全面否認していた。」

 疑わしきは罰せずであり、自白のみが証拠だというのなら、「何人も、自己に不利益な唯一の証拠が本人の自白である場合には、有罪とされ、又は刑罰を科せられない。」と憲法にあるのだから、無罪が妥当だろう。しかも、公判で容疑者は無実を主張していたというのだから。  しかし、問題は、取り調べで自白し、公判で翻すということが、新聞等を読んでいる限り、けっこうあるらしいという点である。アメリカの刑事ドラマなどでは、取り調べ中の自白は明確に証拠として採用されるのが原則であり、取り調べで自白し、罪状認否で否定するというような場面はまず出て来ない。(皆無かどうかはわからないが。)  これは取り調べのときの条件の問題が大きい。通常アメリカの取り調べではミランダ原則が適用されているとされる。つまり、黙秘権がきちんと保証され、そのために取り調べには弁護士が付き添う。弁護士が付き添っての取り調べだから拷問とか、圧力をかけたりはできない。だからこそ、自白はそのまま証拠として採用されるわけである。  ところが、日本では取り調べに弁護士が付き添うことは、ほとんどないようだし(全然かどうかはわからないが)、かなり圧力をかけるような取り調べ、あるいは長時間拘束しての取り調べが少なくない。そういう中で、公判で否定すればいい、今は認めてしまって早く取り調べをやめたいという気持ちが働くと、よく報道される。  このような取り調べは結局、必ずしも警察に有利ではないというのが、今回の判決の意味ではないだろうか。日本でもミランダ原則を適用すべきであると思う。